特殊な殺され方の瓜子姫

山形県のお話です
(参考文献 未来社『日本の民話 2』)


むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました。

と、途中まではだいたいお話がおなじなので省略します。
大切なのは、桃を取りに行ってから。
(ここで、「長者の畑の桃」を取りに行くのはポイント)
瓜子姫(このお話では瓜姫子)は、あまのじゃくに無理やり桃の木にのぼらされます。
そこまでは、各地方でもおなじみなのですが、
その後、あまのじゃくは「瓜姫子が桃を取ろうとしてる!」
と叫びました。
そのせいで、瓜姫こは長者に捕まり、
「このどろぼうめ!」ということで

殺されてしまいました


なんと、ただ、桃を取ろうとしただけで殺されてしまうとは!
現代ではとても信じられないような話ですが、身分の差が激しい当時のこと。
庶民の命なんて、長者からみれば虫けら同然だったわけです。


それに、いまでこそ「果物王国だ」「米所だ」「米沢牛だ」と豊かな山形県も、室町時代の当時はまだまだ貧しく、環境の厳しい地方でした。
たちえ、桃ひとつとはいえ、ひとに分けるような余裕はなかった、ということでしょう。


さらに、閉鎖された村落社会であることを考えれば「盗み=村の秩序を乱す行為」ということになり、とうてい看過できない行為なのです。


それらのことから、この場合、瓜姫子は殺されてもしかたがない、ということになります。
当時は、ほんとうに果物ひとつをとうろうとして殺された子どももいたんでしょうね。

しかし、このあまのじゃく。
手を汚さずに、殺人をやってのけると、そうとう卑怯ですね。
全国のあまのじゃくの中でも、かなり悪党の部類でしょうか?
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