東北における瓜子姫
東北の瓜子姫は、ほとんどの場合外敵によってあえなく殺害される……。 というのは、なんども説明しています。 しかし、同じ「殺される」といっても、地域によっていろいろなバリエーションがあるのです。 大きく分けて ・その場で殺されるか ・木に連れ出されて殺されるか です。 その場で殺される型は、ほとんどの場合「食い殺される」という形式をとります。 場合によってはまな板の上でバラバラにされたり、鍋で煮殺されたりするものも少なくありません。 木に連れ出される型は、ほとんどの場合木登りさせられ、木を揺すられるなどして落とされる、という形式をとります。 さて、この二つ、おもしろいことに ・奥羽山脈を挟んで、きれいに分かれて分布している のです。 奥羽山脈の東側、岩手を中心に「その場で殺される」型が 奥羽山脈の西側、秋田を中心に「木に連れ出されて殺される」型が 広く分布しているのです(注・例外も、もちろんあります) これにより「太平洋型」「日本海型」に分けようとする考えもあるようですが、瓜子姫は主に内陸部を中心に広まっているため、これはやはり 「奥羽東型」「奥羽西型」とするほうがしっくりくるでしょう。 または、 「奥州街道型」「羽州街道型」とするのもいいかもしれません。 瓜子姫の分布図を作成すると、東北には綺麗な線が現れます。その先は、当時のバイパス、奥州街道と羽州街道にピッタリと重なるのです。 もちろん、街道沿いは人口も多く、採話がしやすかったという側面もありますが、傾向として「瓜子姫は街道を経由して東北全体に広まった」というのはほぼい間違いないでしょう。 では、なぜ奥州街道側と羽州街道側でそのような変化があらわれたのか? その説明は……いまはまだつけられません。 仮説はあるのですが、証拠が少ないので。 今後、証拠が固まり次第紹介しますね |