変り種の瓜子姫
瓜子姫のお話は、地方によってかなり話が違うのが特徴です。 この章では、とくに変わっている瓜子姫を紹介しましょう。 1、え、これで終わり? 瓜から生まれた瓜姫は、機織が好き。 機織虫やすずめと仲良くなり、協力して機織をする。 見事な布が出来上がり、おじいさんとおばあさんはそれを売って大金持ちになる。 めでたしめでたし。 …………。 え? これで終わり? あまのじゃくは? 柿の木は? 桃の木は? え? 山梨の上九一色村に伝わる話だとか……。 もともと、この地方には死亡型の話がつたわっていて、話者が残酷だから、と削ったのかもしれないですね。 2、瓜から生まれない 栗から生まれた。栗子姫(または栗姫)と名づけられる。 百合根から生まれた。百合子姫と名づけられる。 話の展開は瓜子姫(敵は山姥)にそっくり。生まれた植物と、名前が違うだけです。 3、狼に食われる 東北や北陸に、いくつか伝わる話。 あまのじゃくの代わりに狼が登場し、瓜子姫を食い殺します。 日本の昔話で狼が敵役となるのは、意外と珍しいんです。 ヨーロッパの昔話では、狼は悪の定番。 牧畜がメイン産業であるのだから、当然でしょう。 日本では、家畜の数はヨーロッパよりも少なく、逆に畑を荒らすいのしし等を食べてくれる有益な存在(狼はもともと大神という説もあり)としてとらえられていたようです。(もちろん、馬をねらう狼が登場する「古屋のもり」のような話も存在します) にもかかわらず、ヨーロッパではいまも狼が存在し、日本では絶滅した、というのは考えさせられる話です。 4、鬼退治 島根県につたわっているらしいです。 もう完全に桃太郎ですね。 詳細がわからないのが残念。 いちど読んでみたい。 |