サブカルチャーと瓜子姫

諸星大二郎 『妖怪ハンター』「天の巻」 集英社

考古学者・稗田礼次郎が怪奇現象の謎に挑むシリーズ。
この巻では「瓜子姫」が大きく取り上げられています。
いや、圧巻です!
おそらく、漫画で「瓜子姫」を正面から扱っている作品はおそらくこれだけではないでしょうか?
他はほとんどパロディですからね。
昔話が多かれ少なかれ持っている「不気味さ」が、作者独特の絵と合わさってなんともいえないおどろおどろしい雰囲気を醸し出しています。
またそれだけではなく、「瓜子姫」の解釈を柳田國男を始とする様々な資料に基づいて行っており、非常に知的かつ高尚でさえあります。
こんな漫画が「ヤングジャンプ」で連載されていたというのは奇跡的ですね。現在ではおそらく企画段階で無理でしょう。
私は作者の「瓜子姫」解釈に全面的に賛成なわけではありません。
しかし、「木」を重要なモティーフィとして注目し、「聖なる木をめぐる善悪の葛藤」「聖なる木に人身供養をしていたなごり」という説は一考の価値があるものと思われます。
現在読むのなら手に入りやすい文庫版が良いと思います。

西岸良平『鎌倉ものがたり』17巻 双葉社

『三丁目の夕日』で知られる作者の推理漫画。
推理、とはいうもののほとんどが妖怪や超常現象のからんだ所謂「とんでも推理」ものですが。(でも中にはプロやマニアをうならせる本格トリックもいくつかあることを付け加えておきます)
その中の第184話「おとぎの国の亜紀子」で「瓜子姫」が取り上げられますが内容自体は「瓜子姫」を知らない人への紹介、といった感じですね。
『妖怪ハンター』よりも初心者向けでしょう

戻る

inserted by FC2 system