瓜子姫地図 姫の殺され方(東北)

赤丸……鬼一口型(侵入してきた外敵にその場で殺害される)
黄丸……連れ出し型(外敵に外へ連れ出され殺害される・または殺された後死体を外に捨てられる)
緑丸……生存型(生死のはっきりしないものも含む)


同朋舎の『日本昔話通観』収録の類話を元にして分布図を作成しました。
資料そのものが戦後に収集されたものであり、また採集もれなどの可能性もあるため「完全に正確」というわけではありませんが、ある程度の傾向は分析できると思われます。

地図から見えること

1、日本海側北部は「連れ出し型」が多い
ほぼ現在の秋田県ですね。そこに集中しています。その理由は調査中ですが、おそらく日本海交通によって西側のモチーフが伝わってきたものと考えています。

2、青森西部(津軽地方)は「生存型」が多い
ただし、津軽の型は「侵入してきた外敵によって家の中に監禁される」モチーフであり、西日本に多い「連れ出されて果樹に縛られる」モチーフではありません。
この「家の中に監禁」というモチーフは「鬼一口型」=侵入と同時に殺害される、モチーフの変形だと考えられます。津軽は、「鬼一口型」の範囲内にあるということができます。
津軽に生存型が多いのは、単に「その型が流行った」だけなのか、それとも特別な理由があるのか? 興味深い問題です。

3、山形は「鬼一口型」「連れ出し型」が入り乱れている
1で述べたように、「連れ出し型」が西日本から伝わってきたとすると、本来あった「鬼一口型」を周辺に追いやり、「連れ出し型」が広まって行ったことになります。
山形は「連れ出し型」の南端であり、「連れ出し型」に侵食されながらも、元から存在した「鬼一口型」の勢力も残っている地域、であると見ることができます。
東北に「瓜子姫」がどのように広まっていったのか、ということを示す重要な地域であると考えられます。

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