〇「瓜子姫」で「死亡型」があることを初めて知った。読んでみたいけど、「生存型」ばかり。 という意見をちらほらみかけます。 そんな方のために、「死亡型」を読むにはどんな書籍を選べばよいか、おすすめの「死亡型」などの情報をお伝えします。 ●地域別の昔話集 「〇〇の昔話」「〇〇の民話」などですね。 岩手県・秋田県・山形県・福島県ならほぼ「死亡型」です(例外あり)。 青森などでは「生存型」も多いため、確実性を求めるならこのあたりですね。 ちなみに、殺され方も地域で異なるので、読み比べてみることをおすすめします。 でも、 〇「そんなにいろいろ読むのは大変。そもそも、その地域の昔話集を選ぶのが面倒」 という方には、こちらがおすすめ。 ●佐々木喜善『聴耳草紙』 『遠野物語』の原話を柳田国男に伝えたことで有名な昔話研究家による昔話集。 岩手を中心に七話の「瓜子姫」(「瓜子姫子」など名前は異なります)が載っていて、ほぼ「死亡型」です。 狭い範囲に関わらずそれぞれ内容はかなり異なり、昔話がいかに多様性に富んだ物かということを教えてくれます。 現在はちくま文庫などで出ています。 書店では手に入りにくいですが、大きめの図書館などで比較的容易に読むことができると思われます。 ●関敬吾『日本の昔ばなし(Ⅰ)』(岩波文庫) 昔話研究の大家である関敬吾が一般向けに書き直した昔話集。 「瓜子姫」(本書では「瓜姫」)は、第一巻の第一話にあります。 「死亡型」ですが、非常に珍しい「天の邪鬼に憑依され、そのまま死亡」という展開を取ります。 全国的にも1例しかない希少な物で、なぜ関敬吾がこんな特殊な型を選んだのかは興味あります。 こちらも図書館などで容易に読めます。 〇でも、やはり児童書が良い。 という方にはこちら。 ●坪田譲治の昔話 ●寺村輝夫「日本むかしばなし3」(あかね書房) 坪田譲治はさまざまな昔話を読みやすいようにアレンジしましたが、「瓜子姫」(本書では「うりひめこ」)もそのひとつ。 秋田のものを元にしており、姫は木から落ちて死亡します。 そして、その弟子の寺村輝夫が書いたものはそのパワーアップ版とも言うべきもの。 より原話に近く、坪田譲治が省いた「天邪鬼が姫の皮を剥ぐ」シーンもしっかり描写しています。 坪田譲治のものは挿絵が入ることは少ないですが、寺村輝夫のものは挿絵が多く、姫が死ぬシーンまでしっかりと書かれています。 さすがに、姫死亡シーンが絵に描かれるのは珍しいですね。 坪田譲治のものは様々な出版社から出ています(その巻に入っているのかは出版社によって異なるので割愛します)。 寺村輝夫のものはあかね書房から。 どちらも図書館はもちろん、大型書店でも手に入ると思われます。 〇でも、絵本がいいな という方は。 いくつかありますが、 ●竹本員子・文/田木宗太・絵「うりこひめ」(コーキ出版) ●西本鶏介・文/深沢邦朗・絵「うりこひめとあまんじゃく」(チャイルド本社) がおすすめですね。絵が怖くて。 どちらも先に紹介した関敬吾の岩波版が元となっております。 というよりも、絵本での「死亡型」はなぜかこの関敬吾のタイプが多いです。 「木から落とす」「バラバラにする」「皮を剥ぐ」といった残虐描写がないからかもしれませんね。 ご参考にしていただければ幸いです。 |