例としてこんなお話はどうでしょう
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へしばかりにおばあさんは川へ洗濯にいきました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな瓜がドンブラコと流れてきました。
「まあ、大きな瓜だこと」
おばあさんはその瓜をもってかえり、おじいさんが帰ってくるのをまって、それを切りました。
すると、うりのなかからかわいい女の子が出てきました。
こどものいないふたりは大喜びで、その女の子を瓜子姫、と名づけて大切に育てました。
瓜子姫は大きくなりと、とても美しく、また機織のうまい娘になりました。
ある日、おじいさんとおばあさんは町へ買い物にいくことになりました。
「瓜子姫、ちゃんとお留守番をしていてね。だれが来ても、家に入れてはダメよ」
「はい。わかったわ」
瓜子姫のお嫁入りの話はとらないことにします。 瓜子姫は、このあとの展開からして、幼い、無垢な娘のイメージが強く、お嫁入り=大人の女性というイメージと合わないからです。 もちろん、昔の話。十代前半でお嫁に行くのがあたりまえの時代の話なので、それでもおかしくはないのです。 しかし、いまのこどもにそれが理解できるでしょうか? ちょっと難しいでしょうね。 だから、お嫁にいかないタイプを選択しました |
そのころ、山にはあまのじゃくという鬼の女の子がすんでいました。ひとを騙したり、ひとのいうことに逆らったりするのが大好きなひねくれものの鬼でした。
あまのじゃくは、瓜子姫のうわさをきいていました。そして、みんなが瓜子姫をほめるので、少々にくらしく思っていました。
「よし、ちょっとその瓜子姫をからかってやろう」と、あまのじゃくは瓜子姫の家へ向かいました
男女の別のはっきりしないあまのじゃくですが、ここでは女性にしました。 男性にすると、後のシーンで「男性が女性に暴力を振るう」「なんか卑猥でいやらしい」という好ましくない図となり、保護者から敬遠されるおそれがあるからです。 動機は「嫉妬」。わけのわからないいやがらせよりはわかりやすいでしょう |
瓜子姫が機を織っていると、戸を叩く音がしました。
「だれかしら?」
瓜子姫が窓から覗いてみると、鬼の子です。
「瓜子姫、戸を開けて」
「だめよ。誰も入れてはいけない、といわれているもの」
「そんなこといわないで開けて。ちょっとでいいから」
「でも……」
「そうだ。なら、柿をとりに行きましょう。甘い柿がたくさんなっているのよ」
最初は渋っていた瓜子姫も、あまのじゃくの口のうまさに負け、戸を開けてしまいました。
「さあ、柿を取りに行きましょう」
「ええ、行きましょう」
無理やり連れて行かれる話も多いのですが、ここでは進んでついていくほうをとりました。 だって、無理やり連れて行かれたのに「柿をとって」と頼むのも変だしね それに、このシーンで子どもに「怖い」と思われたらおしまいです。 保護者も「こどもが怖がるから」と読むのをやめるでしょうし |
柿の木につくと、あまのじゃくは木にのぼって柿を食べ始めました。
瓜子姫にはぜんぜんくれません。
「わたしにもとって」
と瓜子姫がたのむと、
種やら、食べかけやらを投げつけます。
「ねえ、ちゃんとしたのをとって。赤く熟したのをとって」
「わかったよ」
ひとの言うことに逆らうのが大好きなあまのじゃくは、青くて固い柿をもぎ取ると、
「ほら、おいしい柿だよ!」
と投げつけました。
それが瓜子姫の頭にあたりました。
「きゃああ!」
うりこひめは、ばったりと倒れてしまいました。
「ごめんごめん。大丈夫か、瓜子姫?」
しかし、瓜子姫は返事をしません。倒れたまま、ピクリとも動きません。
「どうしたんだい? 瓜子姫」
あまのじゃくは、木から下りて、瓜子姫のそばによりました。
瓜子姫は、しっかりと目を閉じ、気をうしなっていました。
「おやおや、これはおもしろいことになったね」
あまのじゃくはニヤリ、と笑いました。
「そうだ。せっかくだから、瓜子姫に化けてみよう」
あまのじゃくは、瓜子姫の着物を脱がせると、自分の汚い着物と交換しました。
そして、藤蔓をさがしてきて、それで気をうしなっている瓜子姫を木に縛り付けました。
そして、自分は瓜子姫の家へ戻りました。
なんども主張するように、瓜子姫気絶バージョンで展開します。 「猿蟹合戦に似てしまう」という欠点はありますが、これが一番無理が少ないのです。 |
あまのじゃくは、化粧をしてうりこひめに化けました。
しばらくして、おじいさんとおばあさんが帰ってきました。
「うりこひめや。なんか変わったことはなかったかい?」
「ええ。なにもなかったわ」
あまのじゃくは、瓜子姫の声をまねて答えました。
しばらくすると、誰かが戸を叩きました。おじいさんが開けてみると、お侍がいます。
「ここの娘は機織が上手だときいた。殿様が、ぜひ城で働いて欲しいとおっしゃるのだ」
と言います。
「しめしめ。お城でいい暮らしができるぞ」
あまのじゃくは大喜びで、外で待っていたかごにのりました。おじいさんも見送りについていきます。
途中で、分かれ道にでました。
「柿の木山と、梨の木山、どちらを行くかね?」
柿の木山へ進むと、瓜子姫を縛った木の前をとおります。あまのじゃくは梨の木山へ行くようたのもうとしましたが、いつものくせでつい
「柿の木山へいってください」
と頼んでしまいました。
中国地方の展開。比較的新しい話らしいですが、ここで採用しました。もっともおもしろい話だと思うからです。 |
しばらく行くと、瓜子姫が縛られていました。
瓜子姫は、すでに目をさましていました。おじいさんの姿を見て、
「助けておじいさん。あまのじゃくに縛られたの」
と叫びました。
「さて、おまえは偽者だな」
あまのじゃくはかごから引きずり出され、化けの皮を剥がされました。
「悪い鬼だ。こうしてくれる」
侍は刀を抜いて、あまのじゃくを切ろうとしました。
「やめて! そこまでするのはかわいそう!」
それをとめたのは瓜子姫でした。
「瓜子姫、悪かったな!」
あまのじゃくは、そういうと、そのまま山へ逃げ帰っていきました。
ここで、「瓜子姫があまのじゃくの命をたすける」という展開を入れました。 このままでは、瓜子姫があまりにも活躍がないからです。 |
瓜子姫は一度家へ帰り、着替えてから改めてお城に向かいました。
お殿様や奥方様に気に入られ、一生幸せにくらしたということです。
めでたしめでたし
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