こんなにある? 話のパターン
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瓜子姫の話は非常にバリエーションが豊富です
1、発端
おじいさんとおばあさんがいた。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな瓜がながれてくる。もって帰ると、瓜が割れ中からかわいい女の子がでてくる。
おじいさんとおばあさんは喜んでその子に「瓜子姫(うりこひめ)」という名前をつける
ここまではだいたいどの話も同じです
ただ瓜が川から流れてくるのではなく、裏の畑で採れたとするものもあります
2、展開その1 留守番
瓜子姫はおおきくなると美しい娘になった。
そのため、長者からお嫁にほしいといってくる。
おじさんとおばあさんはお嫁入りの着物を買いに町へ行くことになる。
ふたりは留守番をする瓜子姫に「だれが来ても決して開けてはならない」といって出かける。
瓜子姫が機を織っていると、いたずらものの鬼・あまのじゃくがやってくる。
話によっては、瓜子姫があっというまに大きくなった、というものもあります。
また、お嫁入りの話はなく、おじいさんとおばあさんはただ単に買い物にいく、という場合も案外多いのです。
やってくる敵も、あまのじゃく以外にもいろいろあることは前に述べたとおり
3展開その2 あまのじゃくの誘い
あまのじゃくが「戸を開けてくれ」と頼みます
瓜子姫は最初はことわりますが、あまりのしつこさに「少しくらいならいいだろう」と、開けてしまいます。
すると、あまのじゃくは長い爪をつかって戸をこじ開け、入ってきてしまいました。
このお話でいちばんドキドキするシーン。
あまのじゃくが瓜子姫に戸を開けさせる方法は、上記の他に
楽しそうに誘い、瓜子姫をその気にさせるタイプもあります。
さて、ここまでは多少の違いはあれ、大筋は一緒です
しかし、ここからはかなり展開が異なります。
主なものを例にとり、展開を見てみましょう
4、展開その3 瓜子姫の危機
生存型 あまのじゃくは「一緒に柿を取りに行こう」と誘う。瓜子姫はなかば無理やり連れ出されてしまいました。 柿の木につくとあまのじゃくは木にのぼって柿を食べますが、瓜子姫にはわけてくれません。瓜子姫が「わたしにも」と頼むと、あまのじゃくは木から下りてきて「じゃあ、自分で登ってとれ」と言います。「そんなきれいな着物で登ったら汚れるぞ」といい、瓜子姫と自分の着物を交換します。そして、瓜子姫が木に登ると、あまのじゃくはそれを追いかけるようにのぼり、瓜子姫を木に縛り付けてしまいました。 もっともよく知られたタイプ。 なかば強引に連れて行かれるものなどがあります。 また、瓜子姫が縛られる際、木の上ではなく、木の根元に縛るもの、無理やり着物を剥ぎ取るものなどもあります。 また、外に連れて行かれるのではなく、その場で縛られて俵に詰められ、天井につるされるタイプもあります。 瓜子姫のスタンダードなタイプであり、現在発行されている絵本はほとんどがこのタイプです。 西日本、特に中国地方を中心に広く見られます。 |
死亡型1 その場で殺害型 家に入ってきたあまのじゃくは瓜子姫に「まな板を用意して、そのうえに裸になってねろ」と言います。恐ろしさのあまり、瓜子姫はいいなりに。すると、あまのじゃくは包丁をもってきて、瓜子姫をバラバラにして食べてしまいました。 わ!グロイ! 瓜子姫の指を「ヤマイモだ」といって、おじいさんおばあさんい食わすという展開もあり。怖い! 死亡型は全体的に東北に集中していますが、この型は特に岩手や福島に多いです。なお、単に「殺された」とあるだけで殺害方法は不明のものも多く見られます。 |
死亡型 連れ出し型 あまのじゃくは「一緒に柿を取りに行こう」と誘う。瓜子姫はなかば無理やり連れ出されてしまいました。 柿の木につくとあまのじゃくは木にのぼって柿を食べますが、瓜子姫にはわけてくれません。瓜子姫が「わたしにも」と頼むと、あまのじゃくは木から下りてきて「じゃあ、自分で登ってとれ」と言います。瓜子姫が高い枝に登るとあまのじゃくは木を揺すります。瓜子姫は木から落ち、首の骨を折って死んでしまいました。あまのじゃくは瓜子姫の着物と自分の着物を交換すると、瓜子姫の顔の皮を剥ぎ取り、それをかぶって瓜子姫に化けました。 もう完全にホラーの世界。 その後、瓜子姫の死体を持って帰って料理し、おじいさんおばあさんに食わせるものもありますが、「なぜそこまで」と思ってしまいます。 東日本、とくに東北を中心に多い展開であり、これが本来の型であるらしいです。 西に行くにしたがって、ソフトになっていったようですね。 また、木から落とす方法は「毛虫がいる」などといって脅かす、というものもあります。 この型は東北、とくに秋田などや山形北部に多く見られます。 |
死亡型 体乗っ取られ型 あまのじゃくは妖術を使い、瓜子姫に乗り移ります。怪しいと思ったおじいさんに追いかけられ、逃げようとして転んで胸を打つ。その傷がもとで瓜子姫は死亡します。 最終的に瓜子姫の体がキュウリに変化し、それを植えたら毎年キュウリがなる、といったオチがつきます。 なお、非常に数は少なく新潟県内にひとつしか例はありません。 しかし、近年児童書に用いられることがなぜか多く、割合知られるようになった型です。。 |
参考 緑……生存型 赤……死亡型 |
参考 赤丸……その場で殺される 黄丸……外に連れ出されて殺される 緑丸……生存・その他 |
番外編 失神型 ※このあたりは個人的な趣味が入ります。 現在、スタンダードな生存型。しかし、どうも「なっとくできない」 のです。 それは、 「力の差、体格の差があるとはいえ、そんな簡単に縛ることができるか? ましてや不安定な木の上で」 「箱入り娘である瓜子姫が、そんな簡単に人前で着物を脱ぐか?」 「同じく、箱入り娘の瓜子姫が簡単に木に登るか?」 といった理由。とくに、最初のがおおきいです。 木の上で縛る、って無理でしょ。絶対、抵抗されてどちらかが落ちるよ……。 あまのじゃくは「一緒に柿を取りに行こう」と誘う。瓜子姫はなかば無理やり連れ出されてしまいました。 柿の木につくとあまのじゃくは木にのぼって柿を食べますが、瓜子姫にはわけてくれません。瓜子姫が「わたしにも」と頼むと、あまのじゃくは「おいしい柿だぞ」とわざと固くて青い柿ばかり投げつけます。そのひとつが瓜子姫の頭にあたり、瓜子姫は気を失ってしまいました。あまのじゃくは、瓜子姫の着物と自分の着物をとりかえ、気を失っている瓜子姫を木に縛り付けます。 もっとも数の少ないタイプ。比較的新しいタイプのようで、一番古い文献でも明治のもの。むかしから伝わってきたお話、というより手直しをした作者が翻案として付け加えたものがほとんどのようです。バージョンとしては「木から落として気絶させる」「木から下りようとして、木の根で頭を打つ(瓜子姫自身の不注意)などがあります。 新しいもの、とはいえ、個人的にはもっとも納得できる展開であり、スタンダードとして普及させたい展開であります こちらを参照 理由は、@の疑問を解決してくれるからです 瓜子姫の意識がなければ、着物を代えるのも、木に縛るのも簡単です。これほど楽なものはありません。抵抗もないし、相手に怪しまれることもない。 最も無理のない展開である、といえましょう。 |
5、真相の発覚
鳥の知らせ あまのじゃくは瓜子姫の着物を着て化粧をし、瓜子姫に変装する。 おじいさんとおばあさんが帰ってきて、なにか変だ、と思うが気づかない。 そしてお嫁入りの日。あまのじゃくをのせたかごが出発する。 カラスが「うりこひめのかごにはあまのじゃくがのっている」 と唄う。 もしや、と調べてみると、瓜子姫ではなくあまのじゃく。 ここで真相を告げる鳥は瓜子姫の魂の化身と考えられ、当然、死亡型と組み合わされることが多いです。 しかし、生存型でも鳥が真相を告げる型は多く見られます。 |
姫自身により あまのじゃくは瓜子姫の着物を着て化粧をし、瓜子姫に変装する。 おじいさんとおばあさんが帰ってきて、なにか変だ、と思うが気づかない。 そしてお嫁入りの日。あまのじゃくをのせたかごが出発する。 どこからか「瓜子姫を乗せないであまのじゃくをのせている」という声がする。 あたりを見回すと、縛られた姫の姿があった。 本来は鳥が告げていたものの、姫が生存する型が増えるに従い、その役目を姫が担うようになったのでしょう。 そのため、姫が鳥の鳴き声をまねするものも多く見られます。 単に叫ぶものから、歌をよむものまで様々です。 なお、あまのじゃくは姫を縛った道を通らないようにしようとするも失敗するという道の選択のモチーフがあるものもあります。 |
他にも 「機を織る音の違いから気づく」「芋の食い方がいつもと違うので気づく」「顔を洗ったら化けの皮がはがれる」などのパターンもあります。 瓜子姫がお嫁入りでない場合は、「瓜子姫の機織上手のうわさをきいて、城で働いてもらおうと殿様が使いをよこす」「鎮守様にお参りに行く」というバージョンになります。 |
5、結末
あまのじゃく殺害型 おじいさんとおばあさんはあまのじゃくを棒でめったうちにして殺す。 その時流れた血がそばやかやの根本にとんだため、いまでもそばやかやの根本は赤いのだという。 姫の生死にかかわらず、あまのじゃくは大抵殺され、植物を染めます。 なお、東では「叩き殺す」「斬り殺す」とシンプルですが、西日本では「バラバラにする」「股裂きにする」など制裁が苛烈になります。 |
あまのじゃく逃亡型 真相が発覚すると、あまのじゃくは「きのうの瓜子姫の肉はうまかったか? 裏庭に誰かの骨、誰かの着物」と行って山に逃げ帰る。 東北の岩手などに多く見られます。この型が多い地域は、なぜか瓜子姫に対する仕打ちは苛烈なものが多いです。 ちなみに、当然、この型の場合は、血のモチーフはありません。 |
いかがでしょうか?
ここで紹介したのはほんの一部。
他のコーナーでもいろいろ解説しているので、ぜひご覧になったください。
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