瓜子姫はなぜ全国に広まったのか?
このタイトルを見て、 「あれ?」 と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 「このサイト、普及していない瓜子姫の話を普及させるためのサイトでしょ?」 と。 その通りです。 しかし、それは現代の話。 瓜子姫のお話は、前にも指摘したように 北は東北 南は九州 と非常に広く普及しており、当時まだ日本でなかった北海道と沖縄を除いて、ほぼ全国に伝わっている、といっても過言ではないのです。 また、日本の昔話で女の子が主人公の「○○姫」は意外と少ないのですが、ここまで広まったのは間違いなく「瓜子姫」だけでしょう。 なぜ、ここまでこのお話は広まったのでしょう? 西日本では瓜子姫が死なない話に改定されていますが、それはあまりにも東日本のもともとの話が残酷すぎたためです。 つまり、「わざわざ改定してまで、伝えたかった話」だったわけです。少なくとも話者はそう考えていたのでしょう。 そこまで、魅力のあった話だったのです。 どこが、それほどの魅力だったのでしょう? それは、おそらく異なる要素の混ざり合いだと思われます。 「瓜子姫」、は ・「瓜から美しい姫が生まれる」というロマンティックな要素 ・怪しい怪物が迫ってくるスリル ・姫が惨殺、または木に縛られるアブナイ要素 ・あまのじゃくの悪事が露見し、成敗されるカタルシス要素 といった多様な要素が含まれています(一部例外もありますが) それらは、まさに瓜子姫が織り上げる布のように、複雑に絡み合い、独特の雰囲気となります。 娯楽の少なかった昔において、一種威容でもあるその多彩な要素は、かなり多くのひとに好まれたのではないでしょうか? 「瓜子姫」は「かぐや姫」のように、完成した文学作品(『竹取物語』)ではなく、完全な民間伝承、「民話」です。 そのため、話も荒削りです。 物語の展開など、首を傾げてしまう場面もけっこうあります。 そのため、本などの娯楽が普及した近世以後、徐々にひとびとが離れていってしまった、と考えられるのです。 |