あまのじゃくの性別

瓜子姫の敵役であるあまのじゃく。
その性別は、男性なのでしょうか? 女性なのでしょうか?
別のコーナーでもふれましたが、こちらではもっと詳しく考察してみたいと思います。

もともとはどうなのか?

日本全国に伝わっている瓜子姫では、あまのじゃくの性別につい、「あまのじゃくは悪い女」と明記している話はいくつかありますが、あまのじゃくをはっきりと「男」としている話はそれほど多くないようです。
つまり、性別に関しては明記していないのです。
一人称が「俺」とか「おら」となっていると、無意識に男性と考えてしまいますが、当時、農村では女性が自分を「おら」と呼ぶのは普通であり、東北の田舎ではいまでも「俺」が女性の一人称として使われています。(おしんでもそうでしたね)

そもそもあまのじゃくは、日本神話に登場する「アマノサグメ=天探女」という女神が元になっている、という説が有力です。
また、瓜子姫の話はほとんどが、あまのじゃくが瓜子姫に化ける、という展開となりますが、あまのじゃくが男性ではあまりにも不自然です。
そして、動機に関しても、「瓜子姫になりかわってお嫁に行きたかった」という嫉妬であると語られることも多いのです。

これらのことを相互すると、
あまのじゃくは女性
すくなくとも
もともとは女性的な要素をもった妖怪
であったと言えるのです。

しかし、さきほど述べたように、あまのじゃくの性別を明記しない話が多く、中には容姿がけむくじゃら・おおがらなど、男性的な要素をもったあまのじゃくもいます。
つまり、時代がさがり、話が広がるにつれ、「あまのじゃく=女性」という認識が徐々に薄れ、むしろ「姫をさらう悪いやつ=男」というイメージが強くなっていった、と考えられます。

そして、近年の絵本では

、ほとんどがあまのじゃくを男性として扱っています。
「あまのじゃくは男」とは明記していないものの、挿絵や一人称(現代共通語で男性的な一人称をとる)などで、明らかに「男性」とされています。
おおがらで乱暴だったり、あるいはやんちゃな子どものようだったり……性格や設定はさまざまですが、あまのじゃくを「女性」としたものは非常に少ないのです。
このことから、絵本の作者は「あまのじゃく=男性」としてとらえているひとがほとんど、ということがうかがえます。
現代では「あまのじゃく=男性」であり、「瓜子姫=悪い男にいじわるされる」話であるととらえているひとが多いのではないでしょうか?

私は、あまのじゃくを女性にもどすべきだと考えます。
原点に戻す、という意味もありますが、それ以上に
あまのじゃくが男性だと、子どもに普及させるにはちょっとアブナイ話になるからです。
動機もあいまいですし。
女性のあまのじゃくが、同姓の瓜子姫をしっとする、という展開のほうが、男性のあまのじゃくが異性の瓜子姫に理由なくひどいことをする、という展開より多くのひとに納得してもらえるでしょう。
瓜子姫の着物をはぎとっても、それほどいやらしさは感じないでしょう。
「体力の差」は、瓜子姫が気絶すれば関係のないことです。

やはり、あまのじゃくは女性であるべきなのです。

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