こんな瓜子姫は良くない!

「瓜子姫」を子供向けにするにあたって、規制の厳しい現在では、いろいろな策を講じうる必要があるでしょう。
現在、刊行されているものでは、

・着物を脱がせられるシーンがなくなった
・最後にあまのじゃくが改心する

など、「ああ、明らかに配慮したな」と思われるものが結構あります。
私は、時代の流れ上、ある程度の改編は容認する立場です。
昔から伝わっている話は、ちゃんと大人向けの読み物として残せばいいことですし。
ただ、「これはちょっと」と思う改編もありました。
(資料がないため、出版社などは不明です)
それは、
「死亡型を採用しながら、瓜子姫の死を描かない」ものです。
瓜子姫が、木から落ちたシーンまでは描きながら、それで瓜子姫がどうなったのかを語らないのです。
後書きによれば「瓜子姫は木から落ちて死に、あまのじゃくに顔の皮をはがされるのですが、残酷なのではぶきました」とのことですが、それはいただけません。
これでは、子供には「瓜子姫はどうなったの?」とモヤモヤとしたものを残します。
また、かえって「あのとき瓜子姫は死んでいたのか。あのあまのじゃくは、瓜子姫の皮をかぶっていたのか」と、後年後書きを読んで、ショックが倍増するでしょう。
トラウマになったりして。
わざわざ死亡型を採用するなら、きちんと「瓜子姫の死」を描くべきです。
もし、どうしてもそれがいやなら、不自然にぼかしたりせず、縛られ型や失神型を採用すべきです。
死亡型を採用しながら死を「残酷だ」と避けるのは、臭い物に蓋をして、あいまいにすませよう、という悪い意味での日本的な発想です。
死亡型を採用したいなら、覚悟を決めるべきです。
私は、そう考えます

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