なぜ、瓜子姫を普及させたいか

「瓜子姫」は個人的に好きな作品です。
ちいさいとき、「瓜子姫」の絵本があり(メインは『きき耳頭巾』というお話でしたが)、内容はよく覚えていなかったものの、「うりこひめ」と「あまのじゃく」という独特のリズムを持った登場人物の名前のせいか、「そういう話があった」という記憶だけは強く残っていました。
そして、少し大きくなってからのこと。
児童文学の大家、坪田譲治先生の日本昔話全集を読んでいると、そのなかに「うりひめこ」(うりこひめの別名)を見つけ、読んでみたところ……
衝撃を受けました。
なんと、うりひめこはあまのじゃくにだまされ、木から落とされて死んでしまうのです!
それから、この昔話に興味をもち、色々と調べるようになりました。
そして、各地方にさまざまなバージョンが残っている、ということを知ったのです。
そうして、次第にこの話がもつ魅力に取り付かれていきました。
牧歌的でのどかな農村が舞台でありながら、かわいらしい少女に魔の手が迫るというスリルが妙に入り混じった独特な魅力に。
小さな子どもよりも思春期の世代のほうが、このお話に惹かれるのではないでしょうか?

しかし、このお話、公平な目で見てマイナーな存在であると言わざる得ないでしょう。
「うりこひめ」「あまのじゃく」という登場人物は知っていても、どんなお話か、ということを知っているひとは少ないのではないでしょうか?
そして、それに比例して、現在発行されている「瓜子姫」の絵本は、それ単体のものは少なく、昔話の全集の中のものをいれても決して多くはありません。そのうえ、それらの多くは、昭和の時代に書かれたものが版を重ねたか、あるいは復刻されたかのどちらかで、「現在の状況にあわせた、現在の子どものための瓜子姫」というのは非常に少ないのです。
このままでは、おおくの子どもが「瓜子姫」の話を知らずに育ってしまう。
そうすると、将来「瓜子姫って昔読んだな」と興味をもつこともなく、大きくなったからこそわかるこのお話の魅力が、結局伝わらないままで終わってしまうのです。
これは、非常にもったいないことだと思うのです。
将来、もともと伝わってきた瓜子姫の本当の魅力に気づいてもらうためには、まず子どもの時分に「瓜子姫」に親しんでもらうことが必要なのです。
おとなが読む瓜子姫は、すでに先人たちにより用意されているので問題はないでしょう。
そのため、ここでは
「子どもたちに、どう瓜子姫を広めるか」ということを中心に活動を展開したいと考えております。


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