あまのじゃくは昔話中最大の悪?
瓜子姫を誘拐、又は殺害するあまのじゃく。 大抵、その悪行がばれて殺されていますが、なかには軽い罰ですむもの、または全く罰を受けず逃げ延びているものなどもあります。 瓜子姫が殺害されるパターンでは、あまのじゃくが殺されるのも、まあ頷ける話。 しかし、誘拐しただけでなにも……と思っていたのですが、画集でさまざまな瓜子姫を描いていただくうちに考えが変わってきましたね。 「こんなかわいい瓜子姫を酷い目にあわせたのか! 許さん」なんて。 まあ、それはそうとして、あまのじゃくがものすごい悪であることは疑う余地はないでしょう。 もしかしたら、(有名な)昔話のなかで、一番の悪役ではないでしょうか?(『瓜子姫』って有名な話になるの? というのはこのさい考えないでください)
メジャーな昔話の悪役と、ちょっと比較してみましょう。 1、カチカチ山のタヌキ おばあさんを殺害し、場合によっては料理しておじいさんに食わせるタヌキ。(最近ではおばあさんはけがをさせられるだけですんでいる場合が多いですが、殺されるのが本来の形です) あまのじゃくに匹敵する悪のように見えますが、ちょっとちがいます。 なぜなら、 タヌキはおじいさんに捕まり その後、殺されてタヌキ汁にされることになっていたからです。 もちろん、タヌキが畑をあらしたからだ、というのがおじいさんたちの理屈ですが、タヌキからしてみれば生きるために食料を得ただけであり、それで殺されるのは納得がいなかいところ。 だから、復讐・相手の勢力をそぐ、という動機はあるわけで、タヌキにも同情の余地が全くない、とまでは決していいきれないかもしれないのです。 2、舌切りスズメのおばあさん スズメの舌をはさみでちょんぎるいじわるばあさん。 しかし、それはスズメが大切なのりを食べてしまったからです。 当時、貧しい農家ではのりの代金だってばかにはなりません。 それを食べられたのだから、怒るのもまあ、無理はないでしょう。 舌を切るのはやりすぎだとしても、スズメにも過失はあったわけです。 さて、うえの二名と比較するとあまのじゃくには同情の余地もなく、瓜子姫には過失はまったくありません。 にもかかわらず、殺したり、山の中に放置したりするのだから、やはりあまのじゃくの罪は重いのです。 やはり、あまのじゃくは最大の悪者だ! と思いきや。 いました! とっておきの悪が! 3、猿カニ合戦のサル 善良なカニをだまして、おにぎりをとりあげ、カニが丹精込めて育てたカキをひとりじめ。 そのうえ、青柿をぶつけて容赦なく殺害。しかも、カニは妊娠していたというのに……。 この話も、カニにはなんお落ち度がなく、サルに同情の余地はありません。 しかも、話の流れからしてサルの犯行は計画的(カニに柿を育てさせ、横取りする)です。 そのうえ、カニのお母さんが死んで、子どもたちがみなしごになったことを思えば、その罪は非常に重い! とすると、あまのじゃくよりもサルのほうが悪者だね。 あまのじゃく、残念! |