瓜子姫は地味である。
と、なんども言及しました。
ここで、他の昔話の主人公たちと比較して、その地味さをあらためて検証してみましょう。

比較対照の選手として選んだのは

・桃太郎
・かぐや姫
・鉢かづき姫


です。

桃太郎と比べて
川を流れてきた果物から誕生、という点が「瓜二つ」なふたり。
しかし、桃太郎は「人並みはずれた腕力」という特徴をもち、しかもなぜか犬・猿・きじなんてものを家来にする、というユニークさを持っています。
話によっては、「大木を根本から引き抜いた」とか「巨大な鬼を投げ飛ばした」など、人間とは思えない力をいかんなく発揮しています。
一方、瓜子姫のすぐれた点は「美貌」と「機織の腕」。しかし、昔話のようないわゆる口頭で伝えるお話において「美しさ」というのは表現がものすごく難しい。
もうひとつの機織に関しても、別に「人間業を超える」ような技術をもっているわけではない。
結局、桃太郎のインパクトに比べ、瓜子姫はまったく太刀打ちできないのです。

かぐや姫とくらべて
植物から生まれた女の子、という点が「瓜二つ」なふたり。
その美貌ゆえに、身分の高い男性から求婚される、という点も似ている。
しかし、かぐや姫が帝や皇子といった最上の位の人物から求婚されるのに対して、瓜子姫は庄屋か長者といった地域の有力者、最上でも守護であり、せいぜい地方貴族でしかありません。
そして、かぐや姫の養父母が竹を切るたび金が出て大金持ちになったのにたいし、瓜子姫の養父母はそういったことはなし。貴族との付き合いもできるようになったかぐや姫側にくらべ、瓜子姫のほうは「貧しくもないし、裕福でもない」といった程度の暮らし。かぐや姫がまさしく「姫」であるのにたいして、瓜子姫は「なんで姫なの?」というくらい地味なんです。
そして、かぐや姫が月に帰り、「やっぱりただの人間じゃなかった」と思わせるのに対して、瓜子姫は「瓜から生まれた」ということはいつのまにか忘れ去られ、普通の人間とほとんど変わらない存在になってしまっている。

鉢かづき姫とくらべて
タイトルは知ってるけど、内容はよく知らない、というひとが多いだろう、という点が「瓜二つ」のふたり。
しかし、鉢かづき姫が多少の違いあれどだいたいの筋は完成しているのにたいし、瓜子姫は話の筋がバラバラ。統一されていない。
そして、鉢かづき姫が「鉢をかぶせられ、それがとれない」というインパクトの強いキャラ設定、「そのせいで苛められるが、めげずにがんばる(自殺をはかるはなしもあるが)」という好感のもてる性格、そして「容姿ではなく、その中身を愛され」ついに若様と結婚、という泣かせる展開、そして「最後に鉢が取れる」という納得のいくオチ、とそろっています。
一方、我らが瓜子姫は、「瓜から生まれた以外、とくにインパクトなし」「世間知らずのバカ。そのうえ、他力本願」「婚約者は瓜子姫の容姿目当てとしか思えない」「納得いかないオチ(瓜子姫が殺されるなど)オチも多いと、あらためてみると、ひどいものです……。





やはり、瓜子姫は地味ですね。
なんとかしなければ。
瓜子姫に明日はない!


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